VOL.1からの続きとなります。
ここで、余談ですが、自衛官の身分は特別職国家公務員となります。
特別職国家公務員 とは?
具体的には、内閣総理大臣や国務大臣・人事官および検査官・内閣総理大臣秘書官・裁判官・裁判所職員・国家職員・防衛省職員なが挙げられます。政治的な国家公務員や、三権分立の観点や職務の性質から国家公務員法を適用することが適当でない司法機関・立法機関などの国家公務員がこれに当たるそうです。その他の公務員は『一般職国家公務員』となるのですが、何が違うのかといえば、適用される公務員法が異なるみたいです。
ちなみに警察官は『特別公務員』に当たるそうで、ややこしいですがここでいう『特別職国家公務員』とは全くの別物で、『一般職国家公務員』に含まれるそうです。
話を戻しまして、
自衛隊に対してのいいイメージを見てみましょう。
(プラスイメージ)
- マジメ、礼儀正しい。
- 規律、ルールを守る。
- 資格が取れる。
- 公務員なので安定している。
- 災害派遣等で活躍して頼りにされている。
- 家族を大切にする。
マジメ、礼儀正しい
自衛隊員は、国民の皆様の税金と容認で存在できる組織ですから、真面目じゃないとだめですよね。入隊時にはそこまで意識していなくても、仕事を続けるうちに自然とその意識は芽生えてくると思います。手前味噌ですみませんが、束縛の多い自衛隊生活を過ごし、つらい任務をこなしている若い隊員を見てると、尊敬に値すると思います。
自衛隊の存在意義は国民それぞれの考えがあるとは思いますが、災害派遣時に頼りになるばかりでなく、将来必ず国防の点でなくてはならない組織だと認識される時代がくると確信しています。必要だとわかってから作り始めてももう間に合わないのです。
自衛官が礼儀正しいと思われているのは嬉しいですね。普段から目上の人や、上階級者に対しての敬礼を教え込まれているせいでしょうか?見た目にも背筋が伸びてシャキッとしてて(若い時にはこしぼねを立てろ!とよく言われました。)、おじぎも(自衛隊では『10度の敬礼』って言うんですけど)バッチリ訓練されます。
規律、ルールを守る。
近年、コンプライアンス(法令順守遵守・社会的規範を守る)という言葉をよく耳にしますが、主に民間企業で使われるようになってきたみたいで、社会全体の会社に対する監視の目が厳しくなってきたことがその理由のようです。社員の不祥事がネットやSNSで拡散されるようになって、会社の信用に重大な影響を及ぼすことが多くなってきてますね。
自衛隊でも様々な不祥事を起こすことにより、国民の信用を失うことは組織の存続にかかわることになる恐れがあるので、昔から法令遵守・規則遵守は厳しく教育されてきました。
社会的規範を守ることに関しては「自衛隊に対する信用」に関わってきますが、その他、規則を守ることは軍隊において非常に重要な事です。組織として統制を維持するためにも、安全を確保するためにも、装備を効果的に正しく運用し壊さないためにも。規則を守ることに関しては『愚直たれ』とお偉いさんも言ってました。
ここで『東郷 平八郎』の名言を紹介しましょう。今でも、海上自衛隊の幹部候補生学校や術科学校(専門的な技能を修得するための学校)などで、毎日の終わりに斉唱しています。
・至誠にもとるなかりしか(誠実さを失っていることはなかったか?)
・言行にはずるなかりしか(言葉と行動に恥じるところはなかったか)
・気力にかくるなかりしか(気力に欠けているところはなかったか)
・努力にうらみなかりしか(努力に足りないことはなかったか)
・不精にもとるなかりしか(何をするにも面倒くさがっていないか)
資格が取れる。
海上自衛隊で仕事をしていくうえで必要な資格はもちろん、その他多くの資格を取得する機会があります。海技士、小型船舶操縦士、クレーン操縦士、危険物取扱責任者、火薬類取扱責任者、ボイラー技師、ボイラー整備士、機関海技士(内燃)、高圧ガス製造保安責任者(乙種機械)、電気工事士、高圧ガス取扱責任者、工事担当者アナログ第1種、第2種電機工事士、第3種電気主任技術者、危険物乙種4類、第3種冷凍機、消防設備士乙種4類、2級ボイラー技士、特殊無線技士、第1級陸上特殊無線技士、第1級/第2級陸上無線技術士、パイロット免許、潜水士免許、丙種陸上無線通信士、航空無線通信士、航空交通管制基礎試験合格証明書、航空交通管制技能試験証明書4種類、危険物取扱主任、JIS溶接/ガス溶接技術者、非破壊検査技術者、電気工事士、電気主任技術者、情報処理技術者、高圧ガス製造保安責任者、火薬類取扱保安責任者、大型運転免許、牽引免許、フォークリフト免許、準看護師、看護師、救急救命士、臨床検査技師、診療放射線技師、理学療法士、気象予報士等。
中途退職や定年退職時にも資格が取れます。在職中に給料をもらいながら、無料で取得できるので次の職種のための準備ができ、就職の斡旋もしてもらえます。
公務員なので安定している。
公務員は経済的に安定していることはご承知の通りかと思います。詳しく見てみると、個人の能力に関しての評価リスクが低い(能力によって著しい低賃金とはならない)ので一般企業のように収入の激減、無報酬ということはありません。また、倒産による失業も当然ありません。
初任給は比較的低めですが、艦艇乗組員になると『乗組員手当』(基本給の33%)、『航海手当』(階級別、日数)等が加算され、若年者でも結構な給料がいただけます。年功序列で着実に昇給していくので勤続年数を増すごとに基本給はアップしていき ます 。更に食住はタダなので実質的な給料はもっと高いといえます。賞与ボーナスに関しても、勤務評価により多少の高低はありますが、基本俸給額の年4.5か月分が保証されているので安定していると言えますね。
災害派遣等で活躍して、頼りにされ感謝されている。
自衛隊の災害派遣といえば、陸上自衛隊による水害、地震に対する被災者救助・捜索、生活物資支援、復興支援等ニュースでもよく報道されています。海上自衛隊からも災害派遣は行われており、記憶に新しいのは平成30年7月に発生した西日本豪雨災害において、捜索・救難活動、入浴・給水支援、物資輸送等を行いました。平成28年4月の熊本地震では救援物資の輸送、生活支援等、あの東日本大震災では主に海上における被災者の捜索・救助活動ならびに福島第1原子力発電所にて放水活動支援を行っています。
艦艇による救援物資の輸送等は陸上の交通が遮断されている場合に有効で、尚且つ大量の物資を運べることでしょうか。港からの輸送はヘリやホバークラフトで孤立した場所にも輸送できます。
家族を大切にする
自衛官のイメージとして、この「家族を大切にする」があることはちょっと嬉しいですね。自衛官は災害等が発生した時、まず自分の家族より任務の方を優先することを求められます。自分の居住地が災害に見舞われた際にもまず、自分の所属する隊に帰隊し指示を仰ぎます。災害派遣要請に備えるためです。家族は後回しってことになります。自衛官としてのそうした心構えは持っておかなくてはなりません。家族の理解が必要となる仕事ではありますね。
海上自衛隊の艦艇乗組員などは普段から出港が多く(年間200日を超える)家族と過ごす時間が少ないので、家に帰った時はことさら家族と過ごす時間が大切に思えてくるということでしょうか。一般の方と話をする際に自分が艦艇乗組員であることを告げると、よく『家族さんは寂しいでしょうね』と言われたものです。
余談ですが、家にいる時に艦から緊急で呼び出しがあった際、『緊急出港じゃ、艦に帰らんといけん』なんて言ったことがあります。それに対し妻から一言『帰るって、あなたの家はここでしょ?』
家に居るより艦で生活する時間が長い艦艇乗組員あるあるでした。
まとめ
VOL1、2と自衛官に対するイメージについて長々と書いてきましたが、いかがだったでしょう?私の主観での話なので,それはちょっと違うんじゃない?おかしいよ!と思われる方もいらしたかもしれません。
自衛隊は軍隊であるが故の制約や厳しい面もありますが、今からの就職について悩んでおられる方、現在の仕事に不満を持ち転職を考えておられる方、自衛官を職業として考えてみませんか?入隊のハードルは高いものではありませんよ。
現在、自衛隊員が常に不足している状態です。これを読んでくださった若い人たちに伝えたいのは、私は32年間勤めてきて、他の職業ではできない経験をし、やりがいのある仕事だったということです。災害派遣のほか、普段は国民皆さんの目に触れにくい活動をしているので、自衛隊は普段何をしてるのかわかりにくいとは思います。ただ、隊員たちは皆さんと同じく生活し、家族を養い、日本のことを誇りに思って勤務していることは間違いないです。
少しでも、自衛隊が身近に感じていただけたら幸いです。
最後に
自衛官が任官する際、また階級昇任式時に行っている宣誓について紹介します。
服務の宣誓
『私(わたくし)は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもって専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います。』
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