海上自衛隊(官)に対してどんなイメージでを持っているのでしょう?VoL.1

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 自衛隊を就職先として考えた時、普段何をしているかわからないという声が多いと思います。

ネットで調べてみましたが、色々ありますね。

(マイナスメージ)

  • 規則が厳しい。
  • 毎日厳しい訓練をしている。しんどそう。
  • 危険な任務。
  • 体力が無いと務まらない。
  • 普段縛られた生活をしているせいか、お酒を飲むとどんちゃん騒ぎをする。
  • お金の使い方が荒い。
  • いじめ・パワハラが多い。
  • 筋肉バカで頭が悪い。
  • 休みが少ない。            ・・・etc.

(プラスイメージ)

  • マジメ、礼儀正しい。
  • 規律、ルールを守る。
  • 資格が取れる。
  • 公務員なので安定している。
  • 災害派遣等で活躍して、頼りにされ感謝されている。
  • 家族を大切にする。        ・・・etc.

こちらも色々ありますね。

 

これから1個づつ見ていきましょう。わたくしの見解で主に艦艇乗組員の話になります。

スエズ運河 航行中

規則が厳しい。

 皆さんの認識としては自衛隊って軍隊でしょうか?そうじゃないでしょ、って人もおられると思います。憲法上は軍隊ではありませんが、規模や装備的なものを考えれば専守防衛とはいえ、外国からみれば軍隊以外の何ものでもありません。そんな組織ですから、統制を取るためには規律が重要視されるのは当然でしょう。私は在職中に規律が厳しくてやってられないとは思わなかったですね。普通に社会人としての常識の規律からかけ離れたものではありません。
 特に時間に厳しいのはよく知られてると思いますが、艦が出港する時間にに遅刻などすれば、任務に重大な支障が出ます。必要最低限数の乗員で艦の運用を行っているので1人でも欠ければ任務遂行が困難になることもあるので、各乗員は時間に関しては厳守するよう教育され、守れない場合は厳しい罰則もあります。でも一般社会と同じですよね。
 緊急で出港する場合もありますので、休暇中に旅行に行く際等には、旅行計画書とか車両運行計画書という書類を提出していつでも連絡が取れるように備えています。(今は、携帯電話があるのでこれらの書類は形骸化しているように感じます。)
 夏期は台風が接近する恐れのあるので、艦艇乗組員は台風情報に敏感になってます。休暇中であっても、艦を台風から守るために港から沖に避泊するためです。
 あと特に厳しく教育されるのが、交通法規違反(無免許運転・飲酒運転・スピード違反)です。国民の手本となる行動が求められる公務員ですから、確信犯的となるこれらの違反は厳しく処罰されます。

ロシア海軍と自衛艦旗

毎日厳しい訓練をしている。しんどそう。

 ぶっちゃけ訓練は沢山ありますね、艦艇乗組員は入れ替わりが激しくて、若い乗員は2,3年の短いスパンで乗退艦するし、特に各部の指揮を執る幹部などは1年で転勤していきます。なのでチームワーを維持向上するために訓練は必要不可欠です。様々な任務達成のための練度を維持するためにも必要なのです。でも心配は無用です。訓練は毎日ではありませんし、計画的に効率的に行っており短期集中です。他の職種でもスキルは持たないと仕事になりませんよね。
 艦には18歳~55歳まで様々な世代の乗員がいて、ちゃんと教えてもらえるので難しいことはありません。 

出典:海上自衛隊HP

危険な任務。

 自衛隊の性格上、確かに危険な仕事もあります。特に、海外派遣などは不測の事態が起こる可能性もあります。

 昔をさかのぼれば湾岸戦争後の1991年『ペルシャ湾掃海派遣』がありました。ペルシャ湾内に設置された機雷を除去する任務ですが、機雷とは船舶を攻撃するために海上、海中、海底などに敷設された爆弾です。危険海域はもちろん、どこに機雷が設置されているか判らない中、大変な緊張感の元作業していたかと思います。また、2001年~2010年1月まで行われた『インド洋派遣』、2009年~『ソマリア沖海賊対処活動』、近年ではS閣諸島近辺での『監視活動』等においてもいつ不測の事態が起こるかわかりませんでした。実際、FCレーダー(火器管制レーダー)照射事案もありましたね。
 しかし、いずれの活動でも戦闘などに発展したことはありませんし、任務中の殉職者も出ていないことは幸いな事でした。


 通常の訓練では、実際に大砲やミサイル等を発射する射撃訓練をしょっちゅう行っていますが十分な安全措置を講じて行っており、特に心配することはありません。

対テロ特措法 派遣部隊

体力が無いと務まらない。

 皆さん、自衛官はおしなべて体力バリバリの人達と思ってますか?体力無いと入隊出来ないと思ってますか?そんなことは一切ありません!私もごく普通の成人並みの体力しか持ってませんでした。
陸上自衛隊員はある程度の体力が無いと昇任出来ないらしいですが、入隊時に海上自衛隊においてはそんなに体力は要求されません。自衛隊という大きな組織の中には当然ながら多くの職種があるので、必ず自分に合った仕事はあります。体力勝負でなくデスクワークや資格を取得して車両の運転、小さな船の操縦、看護師の資格も取れますし、あげたらキリがありません。職種については後々紹介する予定です。

ただ、入隊すると教育期間がありますのでその間は体力作りはしていただきます。それと、泳げない人でも大丈夫です、泳げるように教えてくれますから。


普段縛られた生活をしているせいか、お酒を飲むとどんちゃん騒ぎをする。

 最近の若い人たちはあまり飲みに行かないようになってますね。昔みたいに気晴らしで飲みに行くとか呑みニケーションしようという時代とは変わってきてるんじゃないでしょうか。昔と違い、ストレス解消できる趣味の種類が増えていいですね今の若い人は。
 中にはお酒大好きな人も勿論いて、確かに羽目を外し過ぎる事があることは否定しません。極端に多いとは思わないのですが・・・。昔は正直いうと色々ありましたね。居酒屋で全裸になって店員に怒られたり、スナックで脱いだ勢いそのままに街に出て行ったり。飲むことに関しては寛容な時代で、先輩は後輩を連れ朝まで飲み歩くがあたりまえみたいな。でも今は深夜徘徊は『厳に慎む』ように指導されてます。(深夜徘徊って、一般的にいうのでしょうか?)
 出港が多くてストレス溜まることもありますが、艦艇勤務の醍醐味として、日本各地又は外国の港に入港して、その土地のおいしい料理やお酒を堪能できることがあげられます。名所史跡などにも行けますよ。

イギリス名物 フィッシュ&チップス
東南アジアの昆虫食
スペインのパエリア

 私が行った、場所をざっとあげてみると、アメリカ(パールハーバー)、メキシコ(マンサニージョ)、カナダ(ハリファクス)、イギリス(ポーツマス)、ドイツ(キール)、フランス(ブレスト)ロシア(サンクトペテルブルク)、ポーランド(グディニア)、ノルウェー(オスロ)、スペイン(バルセロナ)、イタリア(ターラント)、マルタ島、エジプト(アレキサンドリア)、UAE(ドバイ)、トルコ(イスタンブール)、ジプチ、インド(ムンバイ)、スリランカ(コロンボ)、インドネシア(ポートクラン)、シンガポール(チャンギ)、タイ(バンコク)、カンボジア(シアヌークビル)、ベトナム(ダナン)、ミャンマー(ヤンゴン)などなど、まだまだあります。楽しい思い出ばかりです。

ポーランドのお土産物屋のお姉さん
ウラジオストク駅前
ロシア サンクトペテルブルク
カンボジア中高生 艦内見学
アメリカ フーターズのお姉さんと
ベトナム海軍  来艦

 現在はコロナの影響で、他国への入港が制限されたり、入港できても上陸はできていない(艦から外出する事)状況です。これからコロナが収束するのを願うばかりです。


お金の使い方が荒い。

ラスベガスにも行きました。
サグラダファミリア夜景
サンクトペテルブルク 
エルミタージュ美術館

 若い独身の乗組員はその傾向があるとは思います。若いうちは一般に比べて給料はいいですから。艦艇乗組員は乗組手当として、基本給の33%がプラスされ、航海手当も月1万円(出港日数によります)位もらえますし、食事は全てタダなので生活費はほとんどかかりません。ボーナスもきっちりいただけます。堅実で「貯金が趣味」なんて人はどえらい貯まりますよ。
 でもあちこちの港に行くので、観光旅行気分で浪費してしまうのかもしれません。


いじめ・パワハラが多い。

リムパック(環太平洋合同演習)での花火大会

 世間一般の流れとして、自衛隊でも『いじめ』、『パワハラ』『セクハラ』に対しては力を入れて対策しています。このような事案があった場合、相当厳しい措置が取られますし、普段から教育も頻繁に行っていることもあり昔に比べればかなり減ってきてます。危険な作業をともなう仕事をすることもありますから、先輩が後輩に作業要領などを教える過程で情熱が強すぎて、これっていじめ?パワハラ?と思ってしまう若い人がいるかもしれませんが、厳しく教育するのも時には必要であると私は思ってます。当然、体罰容認ではありませんよ。受け取り方の違いなどで難しい問題だとは思います。やはり、誠意とコミュニケーションってことになるんでしょうか。


筋肉バカで頭が悪い。

ミャンマーの旧首都ヤンゴン シュエダゴン・パゴダ寺院

 やはり自衛官のイメージとして体が資本みたいなとこがありますから、世間の人だけでなく自衛官自身もその自覚を持っていると思います。環境的にも体を鍛える機会や設備も整っていますし、体力錬成が奨励されているのでマッチョ自衛官も多いです。プロテインは必須で毎日筋トレばかりしてて筋肉バカ?と見える人もまぁいますが、鍛えられた身体はやはり美しいです。憧れます。近年、コロナ禍で在宅のため体を鍛え始めた人も多くなりましたね。身体を鍛えて給料もらえる仕事ってなかなかないですからどうです?自衛隊。
 頭が悪いというイメージは昔のことですね。私が若いころには、入隊試験で名前が書けたら合格!みたいな感じで入隊してきた人もいたのは事実です。まだ日本がバブル期で入隊者が少なかった時代でした。しかし現在、海上自衛隊が保有しているハイテク最新鋭艦などを運用していくには専門的な知識が必要となってきてます。幹部候補生以外にも、入隊してくる一般の隊員で大学卒業者は普通になってますし、優秀な人材がたくさん入ってきてます。


 学歴だけで優秀かそうじゃないかなんてナンセンスですよね。


休みが少ない。            

潜水艦 水上航走での礼式

 自衛官は国家公務員なので週休2日制です。しかし、自衛隊の中には多くの職種があるのは前に述べたとおりで、職種により休みの取り方は様々です。海上自衛隊の艦艇乗組員の話をすると、ご想像の通り完全週休2日制で休むことはできません。任務や訓練で出港している間は土日も祝祭日も関係ありません。出港中は極端な話、24時間勤務です。こんな話を聞くと大変そうですが、艦を動かしている間、乗員は3交代や4交代でそれぞれの配置についています(海上自衛隊ではワッチといいます)。時間的には2~3時間となります。逆に言えば配置についていない間は非番ということです。この間に食事や風呂、自分の時間となるわけです。訓練が入ってるときは総員で訓練しますが、そこまでハードと思ったことはありませんね。
 艦の行動期間については、任務や訓練によって様々ですが、長いものでテロ特措法の支援行動や海賊対処行動の派遣、遠洋実習航海等は6ヵ月位、次に長いのは監視業務(期間についてはハッキリ書けません)、次に各護衛艦隊群や隊の訓練、後は1,2週間とか、数日とかです。
 
 余談ですが、中には船酔いするから無理という方もいらっしゃるかもしれません、乗員の中にも船酔いに悩む人もいますが、1週間もすれば慣れちゃうそうです。
  土日、祝祭日 の勤務には代休がついて有休も月2日もらえます。これらの休みは艦が停泊中や修理期間中にまとめて取得することになります。通常、艦の修理は年次検査(年1回1か月間位)、中間修理(年一回2週間位)、定期検査(4,5年に1回半年位)などがありこの間に業務に支障のない範囲で休暇を取得できます。正直、すべての代休や有休を消化することは出来ませんが、私としてはまとめて休みが取れることは良かったと思ってます。(乗員はこの間に帰省したり旅行とかに行ってます。)

 

みなさんは自衛隊(官)に対してどんなイメージでを持っているのでしょう?  VOL.2へ続く

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