私は今年55歳になるのですが、中学校2年生の頃から近視でずっとメガネが手放せませんでした。
メガネをかけている人ならわかると思いますけど、鬱陶しい事この上ない。普段はかけていることを忘れちゃってるんですけど、冬に寒い外から暖かい室内に入った途端真っ白にレンズが曇るし、夏は汗をかくとレンズにポタポタ垂れてくるし、本読んだりテレビ見たりスマホいじりながら寝落ちした時なんかメガネを身体の下敷きにして変形させてしまったり。
そこで、定年退職を機にこれからはメガネなしの生活を送ることを決心した次第であります。コンタクトレンズやレーシックという選択肢もあるのですが、コンタクトは手入れがめんどくさいし、ゴロゴロして違和感が半端なく、以前トライした時に不便な思いしかありませんでした。レーシックについては欠点を考えると二の足を踏んでしまうのです。ICLにも欠点があるのですが、レーシックと比べると許容範囲内です。
今から3週間後にICLの手術を受けるので、それまで色々調べたりしたことを書きつつ、手術までの過程を書いていきたいと思います。同じようにICLを検討されているかたの参考になればと思います。
ICLって何なん?
眼内コンタクトレンズ=ICL(Implantable Contact Lens)
ICLは、小さなレンズを目の中に入れて近視や乱視を治療する新しい視力矯正手術です。レーシックと違って、角膜を削ることなく、目の中の水晶体を温存したままレンズを挿入する治療方法は、「有水晶体眼内レンズ挿入術」、「フェイキックIOL」などと呼ばれ、ICLもこのフェイキックIOLの一種だそうです。。レンズを目の中の茶目(虹彩)の裏側、虹彩と水晶体との間の「後房」と呼ぶ位置に固定するので、「有水晶体後房レンズ」という呼び方もあります。 レンズがソフトコンタクトレンズのような柔らかい素材でできていること、いったん目の中にいれたレンズはメンテナンスをする必要がなく長く透明な状態を維持することなどから、「眼内コンタクトレンズ」とも呼ばれているそうです。
1980年代に開発が行われ導入し、2002年の臨床治験を経て2010年に厚生労働省の承認を受けています。
利点は、術後の結果に不満や合併症があれば、レンズを取り出し元の状態に戻すことができること、幅広い度数に対応できることです。レーシックでは、近視度数が強い場合、角膜をたくさん削る必要があり、手術の難易度が高くなることから誤差が大きくなり、近視が再発したり、ドライアイの原因になったりすることがありました。また、一度削った角膜は元にもどすことはできません(ICLは角膜を削ることはしません)。
また、もし将来白内障になっても従来同様の白内障手術を行うことができます。歳を取ると、白内障の発症は誰にでも可能性あることなので、ICLを受ける年齢も考慮することになります。私の場合、ギリギリの年齢かもしれません。
その他
- 手術後はずっとお手入れ不要必要な定期検査を受けるだけで、眼の中に入れたレンズを洗うなどの日々のメンテナンスは不要です。眼の中で汚れたり、ゴロつくこともありません。
- レンズバリエーションが多く、強度の近視や遠視に対応したレンズがあります。強度の乱視にも対応できる。
- 両眼で約20分の日帰り手術です。縫合や抜糸の必要がなく、傷口は自然に治癒します。
- 万一、不具合が生じた時には、レンズを取り出すことができます。(元に戻すことができる!)
- 手術はICL認定医資格を受けた術者が行います。
レーシック | 眼内コンタクトレンズ挿入術 (ICL) | |
方法 | エキシマレーザーを使ってフラップ (角膜の1部を ふたのように切り取ったもの)を作成し、角膜にレーザーを照射して取り、視力を矯正 | 眼の中に眼内コンタクトレンズを移植する手術 |
利点 | ・広く普及 ・比較的費用が安い | ・フラップトラブルがない (フラップがずれるとかあるらしい) ・ドライアイが起きにくい ・強度の近視でも見え方が良好 ・近視のリバウンドがない ・移植したレンズは取り出し可能(可逆性がある) |
欠点 | ・フラップトラブルが起こる可能性 ・ドライアイになりやすい ・近視のリバウンドが起こる可能性 ・不可逆的な手術で角膜を元に戻すことができない ・白内障になったとき正確な手術が受けれない可能性 ・夜間に視力が低下 | ・費用が高め (私の受ける眼科では片目40万円なので両目で80万円となります。痛ッ!) ・年齢によっては老眼鏡が必要となる。 |
レンズの特徴
ICLのレンズ素材は、HEMA(水酸化エチルメタクリレート)とコラーゲンを共重合させたCollamerと呼ぶ新素材で生体適合性が高く、目の中に入れても異物として認識されにくい大変優れた素材です。特別なメンテナンスをする必要はなく、目の中で長期間にわたって透明な状態を維持し、長くレンズとしての機能を果たします。
手術の手順
目薬タイプの麻酔を点眼し、レンズを挿入するために角膜を切開します。
※切開創は3㎜と小さく、縫合しなくても時間とともに自然に治癒します。
切開した部分から、細長く筒状に折りたたんだレンズを挿入します。筒状に折りたたんだレンズは、眼内でゆっくりと自然に広がります。
広がったレンズの両端の部分を毛様溝へいれてレンズを固定します。
もう片方の目も同じ手順でレンズを挿入します。手術は両眼行う場合でも10~20分程度で完了します。
※術後は、麻酔が切れるまで30分~1時間ほどお休み頂き、経過を確認後にご帰宅となります。
ICLの相談のため眼科を訪れた際、『角膜を傷つけないように手術を行うのに気を遣う』とお医者さんは言っておられました。私は『よろしくお願いします』と返したのでした。
ICL手術までの流れ
適応検査を受けた
手術を受けることを決心し、レンズの種類と度数を決めるために詳細な検査を行う必要があります。検査の結果次第ではICL手術を受けられない可能性もあります。内容は通常の視力、様々なレンズをかけての視力検査、乱視の具合、眼に風を吹き付けて行う眼圧の検査のほか、眼球内に病気とかないかを調べる角膜内皮検査、精密屈折検査。この検査はレンズ(水晶体)の屈折度数を測定する検査だそうで、瞳孔を開きっぱなしの状態にする目薬を入れるのですが検査後は2日間位まぶしくて仕方ありませんでした。
検査の結果を聞く際にICL手術を受けるにあたって、角膜内の広さが重要だということを聞きました。角膜を切開し、ICLを挿入、レンズを広げ瞳の中に入れていく作業の際、ある程度の作業領域が無いと手術の難易度がグッと上がるそうです。私の場合、ギリ足りないと言われたのですが、『頑張ってよろしくお願いします。』と言ったのでした。
適応検査の結果は良好ということで、いよいよICL手術に向けて準備が始まりました。私の場合、乱視も矯正するレンズが必要なため、もし適応するレンズが国内にない場合、外国のメーカーに発注するとなると2~3か月を要するとのことでした。しかし、幸いにも在庫があるとの事。先生のスケジュール等のからみで1か月後に術前検査、そしてその1週間後に手術の予定となりました。
手術前検査を受ける(10月7日実施)
ICL手術日の1週間前に心電図、胸部レントゲン、身長、体重、検尿。
結果は異状なしでした。
散瞳検査・眼底検査
散瞳検査とは?
瞳孔(黒目)は目に光をあてると小さくなり、また暗い場所に来ると大きくなるのは皆さん知ってると思いますが、眼の奥は暗いので検査のため光を当てて見やすくしようとすると瞳孔が小さくなってしまうので、瞳孔を大きくし、見やすくするために目薬を使います。
瞳孔(黒目) 開きっぱなしの状態で光を当てられるのでまぶしいですが、大したことありません。
前回の 角膜内皮検査、精密屈折検査 の後は2日間ほどまぶしい状態でしたが、今回は、1日で元の状態に戻りました。
手術中、手術後の注意事項の説明を受ける
手術は目の局所麻酔を目薬で行うため、体は自由に動くということで何か困ったことがあれば、頭を動かさずに口答で伝えることができるそうです。目が痛いとか、トイレに行きたいとか、咳やくしゃみが出そうとか、気分が悪くなった時とか。
手術後の注意事項の一覧は次の通りです。
なお、手術後はしばらくの間、防塵メガネを着用する必要があるため手術当日までに購入予定。
手術4日前からの準備
10月11日から感染予防のための目薬を起床時、昼、夕方、就寝前の計4回点眼するように指示されました。化膿止めの目薬だそうで、術後も継続して使用するとの事。
手術を受ける(令和3年10月14日 )
0900 手術を受けるべく病院に到着。受付を済ませて視力と眼圧の検査。
1000 手術室のある階に案内され手術着に着替える。
1020 手術台に横たわり、右腕に血圧計、左腕に点滴を装着される。両目の横下に袋を付けられ、眼を念入りに洗浄される(目の周りと眼球を薬品と水で)。後に局部麻酔の点眼を入れられる。
1040 手術室に運ばれ、いよいよ手術開始。右目の上に粘着性のシーツをかぶせられ、まぶたを強制的に開かれ、強いライトで照らされ「では始めますね」と言われ、横から目に何か当たる感じがするが、痛みは全くない。まぶしすぎて何も見えない。「レンズ入れていきますね」といわれる、眼球がグイグイ押される感覚。眼球をまっすぐみ保つのにちょっと苦労する。しばらく眼球をいじられて、「右目終わりました」。所要時間10分位だったと思う。
「じゃあ、次左目始めますね」と右目と同様に処置が行われ、やはり10分位で終了。何か異状ないか聞かれ、何もなかったのでそのまま手術は完了したのでした。全部で30分位だったと思う。
手術前は局部麻酔なので意識もあり、目を開けたままなのでメスが見えて怖いんじゃないかと思ってましたが、ライトがまぶしくて何も見えない状態で全く怖くありませんでした。
両目に眼帯を付けられ、車椅子で別室に運ばれ、30分位リクライニングの椅子で休憩。
『異常なし』ということで眼帯を外されて防塵メガネを付けて、2時間位また休憩してくださいと言われ、院内で過ごしました。この時にはもう近視状態とは違って見えるようになってました。
休憩後、担当医師の検診を受けて異状ないことを確認後、帰宅を許されました。帰宅したら電話連絡するように言われ、夜20:00に病院から確認の電話があるとの事なので家でおとなしく休んでました。眼球がゴロゴロする感じはしましたが特に痛いということもなく、保護メガネを外さないように気を付けるだけでした。同居人によると目が真っ赤っかだったそうです。
その後は病院から指示された『手術後の生活の目安』」に従って過ごすだけです。化膿止めの点眼薬を起床時、昼、夕方、就寝前の4回、炎症止めの点眼液を起床時と就寝前の2回をしばらくは続けるように指示されました。これはきっちり守らないと怖いことになるそうなので(感染症)忘れずに!
手術後、1週間経過の検査 (令和3年10月22日 )
本日、術後1週間の検査を受けてきました。視力測定と眼圧検査、それから担当医の検診です。
視力は左0.7、右0.5になっていました。右は乱視がまだ残っていて、ちょっと見えにくい状態でしたが、両目で見れば、若かりし日のメガネなしでよく見える状態です。担当医によれば徐々に視力は上がっていくということです。まあ、年も年ですから回復には時間がかかるのは覚悟しています。
近視の改善と老眼問題( 令和3年11月3日 )
近視は改善されつつあるのでうれしい限りです。が、手術前に担当医から言われていたことがあります。それは『近視矯正のためのICL手術なので、年齢相応の(わたくし55歳)老眼になることは承知しておいてください。』ということです。
その言葉の通り、近くがぼやっとして見えにくいです。『これが老眼というものか!』経験してみて結構不便なものだなという感想です。しかし、メガネなしで遠くが見れて、レンズの曇りや常にメガネを勝てる生活から解放されるメリットを考えれば致し方ないと思います。パソコンやスマホを使う際には老眼鏡をかける必要があり、やっぱりメガネからは逃れられないなという思いはありますが、その時以外はメガネから解放されるので満足しています。
3週間後の定期検査 ( 令和3年11月6日 )予定
※未記入
感想・まとめ
逐次、更新していきます。
コメント